では「ぬるま湯」って何度でしょうか?人によって感覚は違いますよね。なにより、仕込む水の温度が1℃違うだけでイースト菌の発酵に大きな影響を与えます。つまり、プロのパン職人はこの仕込み水の温度をしっかり管理してるのです。
製パン3原則の「温度(O)」管理ですからね!
今回はその仕込む水の温度について解説します。
仕込み水の温度(給水温度)の出し方
以前こちらの記事にて☞製パン3原則とは?パンを作る上で最も重要な事。
パンの温度管理に影響する要素を4つ
・粉の温度
・摩擦の温度
・仕込み水の温度
・作業環境の温度=室温
を紹介しました。
ここではそれらを踏まえて一般的に以下の式が存在します。
仕込み水の温度=3×(希望捏ね上げ温度ー※摩擦での上昇温度)-(室温+粉の温度)
※摩擦での上昇温度とは…摩擦による生地上昇温度は一般的には6~7℃(ミキサーの大きさや仕込む量でも変わる)、特に夏は8℃、冬は3℃程とも言われています。またニーダーを用いた場合は5℃程度とも言われます。
例)本日の 室温20℃、粉の温度19℃
希望捏ね上げ温度26℃
ミキサーを使用する時、上記の式にあてはめると・・・
仕込み水の温度=3×(26-6)-(20+19)という式になります。
答えは 21。
つまり「室温20℃、粉の温度19℃の時は21℃の水を用意すれば26℃に捏ねあがる」
という机上の計算が出来ました!!
今日からはじめる!仕込み水の温度(給水温度)のデータのとり方
1日に沢山の種類の生地を仕込むパン屋さんの場合はこの式に当てはめている時間はあまりないと思います。
では。どうすればいいのかというと。。。
ズバリ、データを収集することが先決です!
ここでは2つの方法を紹介します。
データ収集例 その1
こちらは作業の工程と進行の時間を予測しやすくなっています。
生地の種類が多いときはこのような表で時間管理をすることをおすすめします。
データ収集例 その2
こちらは仕込む生地の種類が少ないときに使いやすいです。
また日によっての温度の影響を比較しやすくなっています。
これらのデータをコツコツ収集していくと、温度変化が激しい春や秋の仕込み水の温度帯をある程度把握しやすくなります。
「室温〇℃の時は水を〇℃で仕込もう」というわかりやすい目安になるので大変おすすめです。
たまに温度計を使わずに自分の感覚で生地を捏ね上げる職人もいらっしゃいますが、それは神です。崇めましょう。
初心者の方はしっかりと温度管理をしてパン生地を管理していきましょう。
意外と水の20℃って冷たいんですよね。それを「ぬるま湯」と称していることもありますので注意です。
おわりに
いかかでししたでしょうか。
パン作りのコツは生地の順調な発酵とタイミングよく作業をすすめることにあります。
そのためには生地の「捏ね上げ温度(プロ向けレシピには指定があります。なければ24~26℃くらい)」に忠実に、発酵時間の関係を理解することが重要です。捏ね上げ温度が高くなるとイーストが活性化され発酵は早くなり、捏ね上げ温度が低くなるとイーストの動きが鈍り、発酵は遅くなります。
万が一、捏ね上げ温度が高すぎてしまった場合や低すぎてしまった場合の対応方法はこちら☞製パン3原則とは?パンを作る上で最も重要な事。を参照ください。
給水温度を計算してある程度の温度を把握し、データを収集して細かな温度変化に対応することがポイントです。